管理人の気まぐれ談話(6)吉本隆明『言葉の幹と根は沈黙』

16日に飛び込んできた2つのニュース。その一つ。「被災地のがれきを受け入れる」と静岡・島田市、千葉・市川市、鳥取・米子市が方針を発表しました。被災地から遠く離れた自治体でも受け入れを求める声が相次ぐのではと期待されています。

もうひとつは戦後思想界をリードしてきた吉本隆明さんの訃報。彼のことばのひとつに、『言葉の幹と根は沈黙』というのがあります。吉本さんはコトバを二つに分類しました。たとえば、「私はがれきを受け入れるのに賛成です」と自分の思いを口に出して言語化したとします。これを「指示表出」としました。これに対し心の中で「がれきを受け入れてあげたい」と、人に言わないでも発しているコトバを「自己表出」としました。この後者のコトバにしない自己表出、つまり「沈黙」こそがコトバの根幹だといっています。

10年分以上といわれている被災地のがれき。「なんとかしてあげたい」と心の中の叫んでいる人は多いでしょう。今回の島田市、市川市、米子市の3つの自治体の決断をきっかけに、さらに多くの行政が「沈黙」を破って欲しいものです。

・・・たとえ世界の終わりが明日だとしても、種をまくことができるか?
『愛さないの、愛せないの』寺山修司

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